神道文化学部主催「次世代の共生社会を担う鎮守の杜」を実施
今日、日本の地域社会は、少子高齢化・人口減少や頻発する災害に直面し、その持続可能性が課題となっています。その中で、地域づくりの担い手を育て、環境保全や災害対応の拠点ともなりうる存在として、神社、鎮守の杜の役割がつとに注目されており、現代社会に即応した取り組みもさまざまになされています。
神道文化学部では、そうした取り組みを進めている団体のひとつである、「一般社団法人 第二のふるさと創生協会」に協力を仰ぎ、神道文化を学ぶ学生たちが、自然と共生する森づくりの現場でのフィールドワークを体験することを通じて、自らの将来像を描くための手がかりを得る機会を提供することとしました。令和6年度はその2回目の実施となります。
10月26日(土)午前8時に、5名の参加学生(神道文化学部1年生2名、2年生2名、4年生1名)と2名の引率教員(黒﨑浩行学部長と松本久史副学部長)が渋谷キャンパスに集合しました。これに、第二のふるさと創生協会の「全国お祭り手伝い隊」から3名と、同協会代表理事の高橋知明氏も加わり、マイクロバスで千葉県君津市の内山緑地建設株式会社「きみつのさんぽ道」を目指しました。車中では、高橋氏より、鎮守の杜の魅力を知り、発信することの意義についてのお話をいただきました。
到着後、林学博士で「里山ZERO BASE」というプロジェクトを提案している(株)グリーンエルム代表取締役社長の西野文貴氏と合流し、西野氏より「次世代を担う鎮守の杜〜森を育み、森に学び、森に還る〜」と題する講義を受けました。森の多面的な機能、森づくりとその歴史、企業の社会的責任(CSR)や環境教育の受け皿ともなる森づくりのプロジェクトについて、質疑応答をまじえつつ学ぶことができました。
そして、西野氏の案内で「きみつのさんぽ道」の森を散策しました。この地域の主役として幹が堂々とそびえているスダジイ、2種類の榊(サカキとヒサカキ)、日常の食卓にも登場するサンショウやミツバなど、およそ16種類の植物を観察しながら解説を受けました。
昼食の後、圃場に移動して、「鉢上げ」という作業を体験しました。東日本大震災の被災地で令和5年11月に採集されたアラカシの種がバットの中で発芽していて、これをビニール製のポット(鉢)に植え替えていきました。
14時からは、車で約6km移動した地点にある山林に移動して植樹を実施しました。この場所は、令和元年10月の台風で被災し、木が倒れて未整備だったところ、今回の研修にあわせて森林組合の方々が切り開き、地ならしをしてくださったものです。用意されていた19種類の苗木100本を、参加学生、「全国お祭り協力隊」、(株)グリーンエルムのスタッフの方々、引率者らが協力して、1時間半で植え終えました。また、参加者それぞれが願いを託した木札を苗木に添えました。
最後に西野氏より、植物社会にとって大事なこととして、多様性、バランス、循環の3つが大事であること、これは人間の組織論にもつながるというお話をいただきました。
マイクロバスは予定よりやや遅れて19時に國學院大學渋谷キャンパスに帰着し、解散しました。参加した学生たちには、今後の展開に向けてアンケートに回答してもらうとともに、体験を振り返って自身の将来に生かしていくためにリポートの作成を促しました。
神道文化学部では、多様性と共生社会を創出する拠点となりうる鎮守の杜についての学びの機会をこれからも発展させていく予定です。
(文:黒﨑浩行、写真:松本久史)