津田 栄 | KOKUGAKUJIN | 学校法人國學院大學 | 法人サイト

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2021年11月29日更新

kokugakujin #3

國學院に集う人々の誠実さは50年間変わらない

Q 子供の頃は、どんなお子さんでしたか?また、どのような夢を持っていましたか?

 和歌山県の白浜で生まれ育ったのですが、家は山の中の一軒家でした。小学校まで片道1時間くらいかかる場所で、近所に子供がいなかったので、夕食が終わると家族で、囲碁や将棋、トランプなどのゲームを毎日楽しんでいました。父が葡萄の栽培をしていたので収時期などには葡萄を運ぶ手伝いもしていました。
 小学校では、先生から色々なことを教わり、新しいことを知ることが嬉しかったですね。中学校に入ってからは、自分と違うタイプの友人との出会いが新鮮でした。小学校は1学年1クラス編成でしたが、中学では四クラスに増えましたからね。クラブは中学、高校と卓球部。友だち同士で舟を出して、釣りも良くしました。釣ったクロダイ、タイ、アイゴ、カワハギなどは、家の食卓を賑わしてくれました。釣りたての魚は、やっぱりおいしいですよ。 ぼんやりとですが、高校生の頃の夢は海外へ行ってみたいと思っていました。不思議なのですが、和歌山の人間は海外へ出て行く人が多いんですよ。外国で暮らしている親類もいますし、海外へ留学した知り合いもたくさんいます。和歌山県人は東京へ行くのも海外へ行くのも大差がない感覚を持っている気がします。

Q 大学生時代は、どんな学生生活を送りましたか?

 大学は上京して、日本中からさまざまな人が集まる東京を見てみたいと考えていました。当初、地学を学ぼうと考えていたのですが、受験間際で数学科への進学を決意して、早稲田大学教育学部理学科で数学を学ぶことに決めました。高校数学の終わり頃になると予想外な答えが出る数学を学びます。その意外性、不思議さに魅力を感じて、数学がどんどん好きになったからです。
 学生時代は、岩登りや雪山にも登る山のクラブに所属して、頻繁に山へ行っていました。初めて登った山は、1年生のゴールデンウィークに行った穂高岳です。まだ雪がたくさん残る穂高を登るのは大変でしたが、山頂から見る景色は衝撃的で最高でした。それから山をやめられなくなり、4年生の夏にはヨーロッパアルプスの山々にも登頂しました。今でも登山は国内外で続けています。アルバイトも色々やりましたね。それもクラブOBの会社や紹介の仕事が多かったです。良いOBがたくさんいて、人の繋がりの深さ、大切さも教わりました。教員になるための教職課程を履修したのも「将来、学校の先生になる道も持っておいたほうがいい」とクラブの先輩に助言されたからなんです。
 教員になる決心を固めたのは、大学4年時の教育実習の時で、自分を必要としてくれる人がいることを母校の中学生たちが教えてくれました。故郷で教員になることも考えていたのですが、もう少し山登りをするためにも東京に残りたいと考え、國學院高等学校の採用試験を受けました。面接の後の帰り際、4月からの定期代を頂き、瞬時に採用されたことを知りました。

Q 津田校長が現在取り組んでいることは何ですか?

 國學院高等学校の校長として今は、生徒たちの一生ものになる英語教育とパソコンスキルの修得に力を入れています。パソコンスキルは始めたばかりなのですが、英語に関しては夏、冬、春の休み期間中に英検講習を実施しています。英検合格者は2年連続日本一になりました。去年の卒業生では1級が2人、準1級が29人います。大学受験のためだけでなく、英語を修得することは社会に出てからも必ず役に立つと考えています。生徒のみならず、教員も英検を受けるようになりました。英語教育は学校全体に根付いたと実感しています。このほかに、イギリス、カナダ、オーストラリアでの語学研修や国内での研修も生徒に提供しています。研修に力を注いでいるのは、実体験の中で知識だけではなく、心に感じることの大切さを知ってもらいたいからです。人生の岐路に立った時、きっとその経験は役立つはずです。

Q これからチャレンジしてみたいことはありますか?

 25歳の時、山登りでトルコへ行った際に、多くの人が日本人に敬意を払っていることを知りました。そのきっかけは、明治時代に私の故郷である和歌山県の潮岬で難破したトルコ軍艦を地元の人たちが献身的に救助したことにあるようです。それまでは日本人であることを少しネガティブにとらえていたのですが、当時の僕は海外へ行って自己肯定感を持てるようになりました。生徒たちにも自信と誇りを持って生きていってほしい。そのためには先ほど話した各種研修による実体験、英検合格などの成功体験を持つことが重要だと思います。自分を好きになり、自分の周りを好きになり、自分の国を好きになる。勝ち負けにこだわらずに自分を肯定できる。そういう生徒を育てることが本校のこれからのテーマの一つだと考えています。僕自身、海外へ行って、それまで普通だと思っていた日本の良さを実感して自分の国を好きになりましたから。

Q 津田校長が考える國學院らしさ(KOKUGAKUJIN)とは?

 人生で大事なものは、誠実さだと思います。誠実に生きているとバカを見ることもあります。それでも誠実は、とても大切なものだと考えています。本校の教員として50年近く経ちますが、変わらずに感じるのは、國學院で学ぶ人も教える人も、みんなが誠実だということです。この誠実は國學院の根にあるものだと思います。不器用なくらい誠実な人が多い学校です。
 また、以前は地縁の中心的な存在として神社を捉えていたのですが、神道を学べる大学を持つ國學院に来てからは、神社の厳粛さを強く感じるようになりました。僕は数学の教員ですが、生きて行く上で、科学と同じくらいに自分の考えや行動の拠り所を持つことの大切さを感じています。

 國學院高等学校は、駅からも近く、都会にありながら自然に囲まれていて、環境にも恵まれています。実は、この界隈を自転車で走ることが大好きなんです。車が行き交う中、街路樹の影を踏みながらペダルを漕ぐことに誇らしささえ感じているんですよ。

津田 栄

國學院高等学校 校長

和歌山県出身
早稲田大学教育学部卒業
1975年4月より國學院高等学校教諭として着任し、2009年に副教頭。2010年から2011年まで教頭を務め、2012年4月に校長に就任。現在に至る。

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