2025年3月21日更新
KOKUGAKUJIN #18
北海道で出逢えた、人の絆と雄大な自然。

Q 子供の頃は、どんなお子さんでしたか?
幼い頃は本を読むことが大好きで、ベッドに入ってからも寝る直前まで読んでいるような子でした。両親もたくさんの本を買い与えてくれましたし、本を読むことでその世界観に触れ、想像力も養われたと思います。そのせいか国語はずっと好きな科目でした。また、動物が好きだったことと、当時のテレビ番組の影響もあって、将来は北海道にある「ムツゴロウ王国」で働きたいと真剣に思っていました。
小学校の低学年の頃までは、人見知りが激しく極度なあがり症でもありました。授業中、先生に指名されて教科書を読むことがあると、緊張で徐々に声が震え、ひどいときには泣き出してしまう程でした。そんな内気な性格でしたが、小学校3年生のクラスの催しで、台詞に詰まった私から咄嗟に出たアドリブにクラスのみんなが大笑いする出来事がありました。自分の言葉で人が笑顔になった――驚きと同時に幸福感のようなものを得た気がしました。その日以降、不思議と人前であがることはなくなり、いろいろな人と自然に話ができるようになりました。私の性格がガラリと変わった瞬間でした。
中学生になっても、変わらず書いたり読んだりすることが好きで、委員会活動は3年間、放送委員を務めました。お昼の放送や体育祭など様々な学校行事で人前で話す機会をいただき、言葉で何かを伝える難しさや、伝わる楽しさを知る経験が出来たと思います。
高校は地元の千葉県野田市にある公立高校に通いました。高校時代の忘れられない思い出は、3年生の時の体育祭です。応援団長だった私は野田の伝統芸能である「津久舞(つくまい)」を披露しました。津久舞は地元で昔から伝わる雨乞いの儀式で、15メートルほどの柱の上に樽をかぶせて舞手が逆立ちなどの軽業を行います。私は地元の伝統芸能師のもとに3ヶ月ほど通い練習を重ねました。体育祭本番では本物の足下にも及ばない2メートル程の高さでしたが、樽の上で弓を引いたり、逆立ちをするなど無事に演技を披露することができました。チームのみんながとても喜んでくれた姿を、今でも鮮明に覚えています。

Q 短期大学時代は、どんな学生生活を送りましたか?
大学進学にあたっては、親元から離れてみたいという思春期特有の気持ちと北海道への憧れが強くあったこと、当時は本学への編入も視野に入れていたことから、滝川市にある國學院短期大学(現・國學院大學北海道短期大学部)の国文科へ進学を決めました。
当時も短大で学ぶ学生の多くは親元を離れて一人暮らしをしていました。いつも一緒にいた仲の良い5人組も東京、千葉、秋田、北海道の出身で、お互いを支え合うような関係でした。彼女たちとはそれまでの友人たちとは違う絆を感じました。滝川に来たからこそ築けた良い縁だと思っています。
2年生の時に行われた学園祭「ありす祭」は、開学10周年の記念事業でもあり、私たちはその周年事業にふさわしい企画を行うことになりました。私たちが立案したのは多くの人を募って「人文字」を作る企画で、「國」の文字に10周年をもじったデザインと、滝川市を象徴するグライダーを人文字で表現し、それを空撮するという内容でした。10周年にあやかり、1,000人の協力者を目標に、チラシを作成して近隣の家を個別に訪問するなど、何日も日が暮れるまで参加のお願いに回りました。当日は残念ながら目標の1,000人には及ばなかったものの、800人以上の人が集まってくれました。短大の行事のために街の人たちがたくさん集まってくれたことに感動して、実行委員のみんなで号泣したことは良い思い出です。

Q 今さんはどのようなお仕事をされているのですか?
私は現在、滝川市役所に勤務しています。
豊かな自然と暮らしやすさに魅了され、滝川での就職を希望しました。市役所での最初の配属は税務課で、聞き慣れない専門用語にストレスを感じることもありましたが、良い先輩たちに恵まれ、たくさん支えて頂きました。その後、市立病院、市民課、観光課、広報など、様々な部署を経験して、今は介護福祉課で働いています。異動をするたびに、その部署では新人ですから日々勉強をしながら仕事に携わっています。
私は今でも人と話をすることがとても好きで、職場の仲間だけでなく、市役所を訪れる市民の方々や街で出会う人々との対話が私の元気の源にもなっていると思います。たくさんの人の笑顔に出会え、市役所で働いていて良かったと強く思います。

Q 今でも國學院大學との関わりはありますか?
市役所に入庁してから、同窓会の役員として短大に関わることがありました。
また、娘も学科は異なりましたが、親子二代同じ学校に入学したことで、何度かキャンパスを訪れたことがあります。
社会教育課で働いていた時には、國學院大學陸上競技部の滝川での夏合宿をサポートする機会があり、合宿の打ち上げ時には滝川名物のジンギスカンを学生たちと一緒に囲みました。おかげで、箱根駅伝は母親のような気持ちで観るようになりました。
Q 今さんが個人として大切にしている信条は?
これまで多くの人と出会い、話を聞き、聞いてもらい、支えられてきた経験から、人との関わりの大切さを実感しています。他人の噂などに左右されずに、自分の目で見て、話して、「その人」を信頼するようにしています。
Q 今さんが考える國學院らしさ(KOKUGAKUJIN)とは?
一つは伝統を重んじる気質が強いと思います。もう一つ、これは短大らしさになるのですが、のびのびしているということ。北海道という自然に恵まれた環境の中で自分の学びたいこと、やりたいことに、みんなのびのびと取り組んでいると思います。

今 安紀子
滝川市役所 職員
國學院短期大学(現・國學院大學北海道短期大学部)国文科卒業