令和5年度公開古典講座が開講されています
令和5(2023)年7月19日、渋谷キャンパス常磐松ホールで令和5年度公開古典講座が始まりました。
公開古典講座は、昭和初期に開講した「萬葉講座」の流れを受け継ぎ、「古典文学の國學院」ならではの伝統に根ざした内容を学ぶことができる短期講座です。
この講座では、日本人に馴染みの深い「萬葉集」と「源氏物語」を取り上げており、7月19日から7月23日までの期間で各10講義を実施。毎年、それぞれの作品から扱う巻を決めて、本学教員をはじめとした研究者が講義を行います。コロナ禍の影響で令和2年度から中止しており、今回は4年ぶりの開講となりました。
今回の萬葉集の講義では「巻十四」について取り上げています。
7月19日の第1日目は、「巻十四東歌とは何か」というテーマで大石泰夫・文学部教授が担当しました。講座の開講にあたり、大石泰夫教授は、「4年ぶりに対面で公開古典講座を開講できることになりました。以前から楽しみにしてくださっていた方々には感謝申し上げます」と挨拶しました。
講座では、東歌に関する特徴や時代の背景などの解説が行われ、70名を超える参加者が受講しました。
参加者たちは熱心にメモを取りながら大石泰夫教授の話に耳を傾けていました。
3日目となる7月21日には、上野誠・文学部教授(特別専任)が「方言文学の成立」をテーマに担当。上野教授は、公開古典講座について「折口信夫先生の弟子などがここで最新のことを学んでいた講座。韓国からも多くの研究者が参加していた歴史ある講座です」と紹介しました。
続いて、自分自身のエピソードを交えながら短歌や方言について説明を進めました。
上野教授は、萬葉集に収められている東国(あずまのくに)地方で詠まれた歌を指す「東歌(あずまうた)」について取り上げました。東国地方とは、萬葉集が成立した奈良時代、日本の中心地であった畿内から見て東方の地域だと解説しました。
そのうえで「東国」の範囲は「東海道と東山道の国々全体をいう場合」「鈴鹿・不破の関以東をいう場合」「足柄峠・碓氷峠以東をいう場合」があり、時代や考え方によって範囲のとらえ方が異なると説明しました。
講座では、上野教授のユーモアあふれる語りに時折、大きな笑いが起こりました。
今回の講座は後日オンラインで有料配信予定です。