2024年6月28日更新
KOKUGAKUJIN #15
私の活力は、かけがえの無い子どもたちの笑顔。
Q 子どもの頃は、どんなお子さんでしたか?また、どのような夢を持っていましたか?
両親に聞くと幼少期の私はとても活発でよく喋る子どもだったようです。小さい頃は近所の友だちと遊んだり、絵本を読んだりすることが好きでした。初めての習い事はピアノでした。先生は3歳の私にもかなり厳しくレッスンをするので、途中で挫けてしまい1年程でピアノ教室は止めてしまいました。小学生になるとピアノを習い始める友だちもたくさんいたのですが、私は興味を持ちませんでした。ピアノレッスンは、幼い私にとってとても苦い経験だったんです。(笑い)
幼稚園に通っていた頃に出会ったのが日本舞踊です、近所の友達が習っていたことから自分も習い始めると、踊って表現するその楽しさに魅了されました。発表会で普段着ない着物を身に付けて舞台に出る時には胸が高鳴りました。私が抱いた初めての将来の夢は日本舞踊の先生になることでした。
中学に入ると一転してバトミントン部、高校では合気道部に入部してスポーツに熱中しました。合気道部では受け身や投げ技を身に付けて、護身術も教わりました。日本舞踊というおしとやかなイメージからは一変ですね。(笑)
通っていた高校には付属の幼稚園が隣接していました。園児たちが高校の校庭で遊ぶ姿がとても可愛くて、一生懸命に運動会の練習をする姿に感動すら覚えました。幼稚園の先生になりたいと強く思うようになったのは、この頃です。
それで、國學院大學幼児教育専門学校(当時)へ進学することを決めて、専門的な幼児教育を学ぶようになりました。
Q 学生時代は、どんな学生生活を送りましたか?
幼稚園教諭はピアノを弾くことが必須です。私は先程話した通り3歳の時にピアノを挫折していましたから、これは何とかしなければと思い個人レッスンをしてくれる先生を探し回りました。ある時、街を歩いているとピアノのレッスンをしている音が耳に飛び込んできました。思い切ってピアノの音がする家の扉を叩いてレッスンを申し込むと、先生は初心者の私に一から教えてくれて、週に1回のレッスンを続けてくれました。学生時代は授業が終わってからも学校のピアノのレッスン室で一人練習に明け暮れるほどとにかく必死でピアノを練習していました。余談ですが、幼稚園教諭になってからもしばらくは個人レッスンを続けていました。先生は園で弾く楽曲を弾きやすいように優しくアレンジしてくれて、音符にドレミのルビも振ってくれるほど。とてもお世話になりました。(笑)
卒業後は、國學院大學付属幼稚園に就職して、1年目から年中組の担任を任されました。試行錯誤の毎日でしたが、子どもたちの笑顔に触れて夢が叶ったことを実感しました。
Q 子どもと接する上で心掛けていることはありますか?
幼稚園での日々の生活の中で、新しいことを知ったり、昨日まで出来なかったことが今日できたり。子どもたちが達成感を感じる一日を過ごせるように心を配っています。
國學院大學付属幼稚園では、英語や運動、お絵描き、折り紙、楽器、友だちとのゲーム遊びなど、幅広く様々なことを通して子どもたちを教育しています。その中から、子どもたちが自分の得意なこと、自信が持てることを、何か一つでも身に付けて卒園していって欲しいと願っています。
Q 幼稚園教諭としての喜びはどのようなことですか?
子どもたちが一歩一歩成長していることを感じ取れた時は嬉しいですね。子ども自身もこれまで出来なかったことが出来るようになると満面の笑顔になるんです。この笑みに出会えるのは幼稚園教諭ならではの喜びだと思います。
また、私が担任をしていた卒園児たちの中には、保護者になって自分の子どもを國學院大學付属幼稚園に入園させてくれる人もいます。保護者になって戻って来た彼、彼女らに会い、話をする時は幼い頃の顔が思い浮かんで感慨深さもひとしおです。
Q 小林園長が現在取り組んでいること、これからチャレンジしたいことは何ですか?
少子化や保育園人気の高まりといった環境の中、預かり保育の時間を朝の8時から夕方の6時までに延長するなど、提供する保育に工夫を重ねています。また、「3歳になったら幼稚園に」をキーワードに園の募集活動も積極的に進めています。お子様を保育園へ通わせている保護者の方に、幼稚園での幼児教育の素晴らしさを届けたいとの思いがあります。
國學院大學付属幼稚園の特色は、中学、高校、大学と連携した教育を提供できることです。隣にある國學院大學久我山中学・高等学校からは体育科と芸術科の教員が定期的に来てくれて、子どもたちに運動や絵画の指導をしてくれます。大学の渋谷キャンパスで博物館を見学したり、神殿へ行って参拝方法を学んだりもしています。生徒さんや学生さんたちと園児との触れ合いはこれからも行っていきたいです。
Q 小林園長が大切にしている信条は?
佐賀県出身の母方の祖母がよく使っていた言葉に「おもやい」があります。意味は「共有する」「一緒に仲良く分け合う」というような意味です。私も幼い頃から母や祖母に度々「おもやいしなさい」と言われていました。「おもやい」は私の胸の奥に沁み付いています。大好きで尊敬する祖母から言われたこの言葉は私の大切な信条です。
Q 小林園長が考える國學院らしさ(KOKUGAKUJIN)とは?
専門学校時代の友人たちを思い起こしてみても、隣の中高生たちの姿を見ていても、強く感じるのは物事に真面目に取り組むことです。また、地道に一歩一歩、着実に進んで行く印象があります。「瞬発力よりも持続力」と言えるかもしれません。
日々の挨拶の仕方や身だしなみなどを見ていて感じるのは、日本人としての礼儀正しさにも秀でていることです。良い意味での日本人らしさを身に付けていると思います。これは國學院らしい「和」を感じる部分です。
小林 育代
國學院大學付属幼稚園 園長
東京都出身
國學院大學幼児教育専門学校卒業
平成7年4月より教諭として着任。
平成22年より主任を務め、令和6年4月に園長に就任、現在に至る。