弘澤 斐子 | KOKUGAKUJIN | 学校法人國學院大學 | 法人サイト

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2023年12月15日更新

KOKUGAKUJIN #13

売店の窓越しに見る生徒さんたちの成長が大きな喜び。

 今回のKOKUGAKUJINは、國學院大學久我山中学高等学校の売店で長年にわたり生徒たちと接している弘澤斐子さんにお話をうかがいました

Q 弘澤さんが校内売店で働くようになった経緯と仕事内容を教えてください。

 弘澤商店は先代が当時の佐々木周二校長と縁があったことから、昭和24年に國學院大學久我山中学高等学校の発足と同時に、売店として創業しました。先代は私の姑です。売店のお手伝いをしながら先代の引退と同時に私が二代目を引き継ぎました。創業当初は終戦直後で校舎などの整備も行き届いていない時代です。砂利だらけの校庭で体育祭に参加する生徒さんたちの姿を見かねて、先代は藁草履を仕入れて販売しました。紙や学用品なども学校の求めに応じてあちこち探し回って、苦労して仕入れていたそうです。生徒さんたちに迷惑が掛からないようにとの一心だったのでしょう。その精神は私にも息づいています。売店を訪れる一人ひとりの声に耳を傾けるようにして、生徒さんや先生方の求めには、できる限り応じるように心掛けています。
 売店ではノートやペンなどの文房具、上履きやカバンなどの学用品、そして教科書を販売しています。繁忙期は入学式が近づく春です。3月は教科書の準備でてんてこ舞い。それぞれの生徒さんに応じて教科書を組み合わせるのに、私たちスタッフだけでは手が足りないので、久我山を卒業した大学生が10人ほど手伝いに来てくれています。バスケットボール部出身の卒業生を中心に毎年先輩からの申し送りで売店まで足を運んで、一緒に汗をかいてくれています。

先代の社長と当時の店員さん(昭和60年頃)

Q 校内で働く喜びを教えてください。

 私の喜びは生徒さんたちとのコミュニケーションです。クラスやクラブでお揃いのTシャツを作りたいと言ってくる生徒さんもいます。その生徒さんたちにオリジナルのTシャツを作って手渡してあげた時、みんなとっても嬉しそうな顔を見せてくれます。文化祭の飾り付けの材料を探してあげた時にも、ニコニコして私にお礼を言ってくれます。その喜ぶ顔を見るだけで、この仕事に就いて本当に良かったと思います。
 生徒さんによっては、保護者にも先生にも言えないことを売店にいる私たちに相談しにくることもあります。大学進学での悩みを聞いてあげたこともありました。友達が好きな子を自分も好きになってしまったなどという相談を受けたこともあります。日々の生徒さんたちとのつながりが私の原動力です。

 久我山には中学1年生から高校3年生までの生徒さんがいます。中学に入学したての生徒さんたちは、まだまだ子どもで体も小さいのですが、高校生になる頃には、体も大きく逞しくなって、挨拶もきちんとできるようになります。そんな生徒さんたちの日々の成長する姿を見ることも喜びの一つです。
 社会人になってからも時々顔を出してくれる卒業生がいて、仕事の楽しさや苦労などを話してくれます。彼が中学高校生だった頃の顔を思い出すと一段と大人になったなと胸が熱くなります。みんな我が子、我が孫のような感覚です。学校と一緒に私は歩んできたのだなと強く感じています。

Q これまでの苦労などはありますか?

 ここ数年、コロナ禍で対面販売が出来なくなった時は苦しかったです。三代目の娘が中心になって新年度の販売を全てインターネット上で行いました。サイトの立ち上げから運営まで、全てが初めての事ばかりでした。ネットならではのセキュリティーの問題や手違いには、娘は本当に神経を使ったようです。私も娘以上に分からない事ばかりで疲れ切ってしまいました。目が真っ赤になるまで頑張るスタッフもいました。例年なら、生徒さんや保護者の方と会話をしながら行っていた販売が、書面通りに箱詰めして送るという、渇いた作業になってしまいました。これは私も娘もスタッフも辛かったです。

Q これからチャレンジしたいことはありますか?

 これも娘が最近始めた事なのですが、LINEを使って、保護者の方々へのお知らせをしています。生徒さんから保護者の方に情報が上手く伝わらないことがありますから、学用品について分からない事などをLINEでお知らせしています。私はもちろん、娘もネット関係は苦手なのですが、お忙しい保護者の方のお役に立てればと思い始めました。まだ始めたばかりで登録者数も少ないですが、地道に続けていきたいと考えています。
 また、学校のサポートと言うと大げさかもしれませんが、オリジナルグッズの種類を増やして、学外に対する学校のPRのお手伝いができれば嬉しいですね。

Q 今と昔の生徒さんたちの違いはありますか?

 昭和の時代の生徒さんの方が活気があったと思います。時代なのでしょうか、最近の生徒さんは少し大人しい気がします。挨拶にしても昔は大きな声で私の目を見て「こんにちは」と言ってくれたのですが、今は少し声が小さくなったといいますか、昔と比べてシャイになってきたみたいですね。ただ、運動部の生徒さんたちは、今も昔も変わらず元気一杯に「こんちは」と挨拶をしてくれます。

Q 弘澤さんが大切にしていることは何でしょうか?

 柔軟性を大切にしています。無理をせず、周りのことをよく見て、考えて、その時々に応じた対処をすることです。大好きな学校で生徒さんたちと接し続けていくためにも、柔軟性は大切なことだと思っています。

Q 弘澤さんが考える國學院久我山らしさ(KOKUGAKUJIN)とは?

 國學院大學久我山中学高等学校らしさは、礼儀正しく、きちんとしていることだと思います。中学校に入学したばかりの頃は幼さの残る子たちも、高校を卒業する時には確りと礼儀を身につけています。6年間、売店の窓越しに彼らを見ているからこそ分かることだと思います。

弘澤 斐子

國學院大學久我山中学高等学校 校内売店
弘澤商店社長

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